算数の文章問題、本当に理解できていますか?(3)
今の小中学生は「考える」ことが非常に苦手で、それが文章問題の苦手意識につながっています。子どもたちが文章問題を苦手とする大きな理由の一つは、言葉で説明された状況を、頭の中で具体的なイメージに変換できないことにあります。
つまり、「りんごが3つありました。みかんが2つありました。全部でいくつでしょう?」という問題で、「りんごが3つ」と「みかんが2つ」が一緒になる様子をイメージできず、単に「3と2が出てきたから足し算かな?」と考えてしまうのです。
算数の文章問題では、最終的に「式を立てて答えを求める」ことが求められます。しかし、「式を立てる」という行為は、単に与えられた数字を並べることではありません。
例えば、「15個のクッキーを3人で等しく分けます。一人分は何個になりますか?」という問題があったとします。この時、頭の中で「15個のクッキーが3つのグループに分けられる」というイメージができていれば、「全体を等しく分ける」というわり算の状況だと判断し、「15 ÷ 3」という式を自然と立てることができます。
もし、このイメージができていなければ、問題文に出てくる「15」と「3」という数字を見て、とりあえず「15 ÷ 3」と書くか、あるいは「15 × 3」などと間違った式を立ててしまう可能性もあるでしょう。
子どもたちが文章問題を本当の意味で理解するためには、計算方法を覚えること以上に、文章が示している具体的な状況を頭の中で描く力、すなわちイメージする力を育むことが不可欠です。この力が養われることで、単なる数字の操作ではなく、算数的な思考に基づいた問題解決が可能になるのです。
<了>