コラム
2026.11.05

最近よく聞く通信制高校って?仕組みや全日制との違い、メリット・デメリットを解説

近年、「通信制高校」という言葉を耳にする機会が増えています。
通信制高校は、毎日登校して授業を受ける全日制高校とは異なり、自宅などでの学習を中心に高校卒業を目指せる教育課程です。
「通信制高校ではどのように勉強するの?」「毎日学校に通わなくても卒業できるの?」「全日制高校と比べて何が違うの?」など、疑問に感じている人もいるのではないでしょうか。
通信制高校は、スポーツや芸能活動など学業以外にも力を入れたい人や、自分の生活スタイルに合わせて学習したい人にとって、魅力的な選択肢の一つです。また、さまざまな事情から全日制高校への通学が難しい人にとっても、高校卒業を目指せる大切な学びの場となっています。
さらに、近年は通信制高校の学習スタイルも多様化しており、週5日登校するコースや大学受験に力を入れる学校など、全日制高校に近い学校生活を送れる選択肢もあります。
今回は、通信制高校の仕組みや全日制・定時制高校との違い、メリット・デメリット、実際の学校の事例などをわかりやすく解説します。

 


1. 通信制高校とは?

通信制高校とは、通信による教育を中心に、高校卒業に必要な学習を進める高等学校の課程です。
一般的な全日制高校では、平日に学校へ通い、教室で授業を受けることが基本です。
一方、通信制高校では、自宅などで教科書や教材を使って学習し、レポートの提出やスクーリング(面接指導)、単位認定試験などを通じて単位を修得します。
毎日登校する必要がない学校も多く、登校日数や学習方法は学校によってさまざまです。
例えば、次のような学習スタイルがあります。

  • 自宅学習を中心に、必要な日だけ登校する。
  • 週に数日登校して授業や学習指導を受ける。
  • 週5日登校し、仲間と一緒に学校生活を送る。

このように、通信制高校は学校ごとに学習環境や登校スタイルが異なります。
また、通信制高校は近年、進学先の選択肢として存在感を高めています。文部科学省の令和7年度学校基本調査によると、通信制高校の生徒数は約30万5,000人で、高校生全体の約9.6%を占めています。
通信制高校は、特定の事情を抱えた人だけが通う学校ではなく、それぞれの目標や生活スタイルに合わせて学び方を選べる教育の選択肢として広がっています。

 


2. 全日制・定時制・通信制高校の違い

日本の高校には、大きく分けて「全日制」「定時制」「通信制」の3つの課程があります。
それぞれ授業の受け方や登校頻度、学習スタイルが異なります。
 

比較項目全日制定時制通信制
主な学習方法学校で授業を受ける学校で授業を受ける自宅などでの学習が中心
登校頻度原則、平日毎日学校の時間割による学校やコースによって異なる
授業時間主に日中夜間・昼間などレポート・スクーリングなど
学習スタイル時間割に沿って学ぶ決められた時間に学ぶ自分のペースで学習を進めやすい
卒業までの期間原則3年以上原則3年以上原則3年以上

※実際の登校日数や授業時間、学習方法は学校によって異なります。


2-1. 全日制高校

全日制高校は、平日の日中に学校へ通い、授業を受ける一般的な高校の課程です。
学校が定めた時間割に沿って授業が進み、定期テストや学校行事、部活動などにも参加しながら高校生活を送ります。
同じ学年やクラスの仲間と日常的に交流できるため、学校生活を通じて人間関係を築きやすいことが特徴です。


2-2. 定時制高校

定時制高校は、全日制高校とは異なる時間帯や授業時間で学習する高校の課程です。
夜間に授業をおこなうイメージが強いかもしれませんが、現在は昼間や午前・午後などに授業をおこなう学校もあります。
働きながら学びたい人や、日中の時間を有効に使いたい人など、さまざまな生活スタイルに対応しています。


2-3. 通信制高校

通信制高校は、自宅などでの学習を中心に高校卒業を目指す課程です。
レポートの提出やスクーリング、単位認定試験などを通じて単位を修得します。
登校日数や学習方法を選べる学校もあり、自分の生活スタイルに合わせて学習を進めやすいことが特徴です。
また、通信制高校の中には、週5日登校するコースを設けている学校もあります。通信制という課程であっても、必ずしも自宅学習だけで高校生活を送るわけではありません。

 


3. 通信制高校ではどのように学習する?

通信制高校では、主に「レポート」「スクーリング」「単位認定試験」の3つを通じて学習を進めます。
それぞれの役割を確認しておきましょう。


3-1. レポート(添削指導)

レポートとは、教科書や教材などを使って学習した内容について、課題や問題に取り組み、学校へ提出するものです。
提出したレポートは教員による添削を受け、学習内容の理解度を確認します。
全日制高校のように毎日教室で授業を受けるわけではないため、自宅などで計画的に学習を進めることが大切です。
提出回数や課題の内容は、履修する科目によって異なります。


3-2. スクーリング(面接指導)

スクーリングとは、学校などに登校し、教員から直接指導を受ける授業のことです。
通信制高校では、自宅学習だけでなく、スクーリングへの参加も必要です。
実際に教員から説明を受けたり、実験や実技などに取り組んだりすることで、教科書だけでは理解しにくい内容も学習できます。
登校する頻度や日程は学校によって異なり、年間に数日程度の学校もあれば、週に数日登校する学校もあります。


3-3. 単位認定試験

単位認定試験とは、各教科・科目の学習内容が身についているかを確認するための試験です。
レポートの提出やスクーリングへの参加など、必要な学習活動をおこなったうえで試験を受け、学校の定める基準を満たすことで単位を修得できます。
つまり、通信制高校では、単に自宅で勉強するだけでなく、レポート・スクーリング・単位認定試験に取り組むことが卒業に向けて重要になります。

 


4. 通信制高校のメリット

通信制高校には、全日制高校とは異なる学習環境や特徴があります。
ここでは、主なメリットを紹介します。


4-1. 学業以外の活動にも時間を使いやすい

通信制高校の大きなメリットは、学業とそれ以外の活動を両立しやすいことです。
例えば、スポーツや芸能活動、音楽、資格取得など、学校の授業以外にも力を入れたいことがある人にとって、通信制高校は選択肢の一つになります。
毎日登校する必要がない学校であれば、活動に使える時間を確保しながら、高校卒業に必要な学習を進めることができます。
また、将来の目標に向けて専門的な技術を磨いたり、競技や表現活動に集中したりしながら、高校卒業を目指せる点も魅力です。
ただし、レポートの提出期限やスクーリングの日程などは決められているため、学業との両立を意識して計画的に取り組む必要があります。


4-2. 自分のペースで学習を進めやすい

全日制高校では、学校の時間割に沿って授業が進みます。
一方、通信制高校では、自宅学習を中心に学ぶため、自分の理解度や生活状況に合わせて学習時間を調整しやすいことが特徴です。
得意な教科は先に進め、苦手な教科は時間をかけて復習するなど、自分に合った学習方法を取り入れやすくなります。
また、学校によっては教員への質問や個別の学習サポートを受けられる場合もあります。
自分の学習スタイルに合わせて時間を使えるため、学業とほかの活動をバランスよく進めたい人にも適しています。


4-3. 自分の事情に合わせた学習環境を選びやすい

通信制高校は、さまざまな事情から全日制高校への通学が難しい人にとっても、大切な進学先の一つです。
例えば、不登校を経験した人や、集団での学校生活に難しさを感じている人でも、登校頻度や学習方法を自分に合った形で選べる学校であれば、新たな環境で高校卒業を目指せる可能性があります。
また、通信制高校の中には、教員による個別の学習指導や進路相談、学校生活に関するサポートなどを提供している学校もあります。
自宅学習を中心にしたい人だけでなく、必要に応じて登校しながら学習したい人にも対応できる学校があることは、通信制高校の特徴といえるでしょう。
ただし、サポートの内容や登校頻度は学校によって異なるため、自分に必要な支援を受けられるか事前に確認することが大切です。


4-4. 通信制高校でも週5日通学できる?広がる学習スタイルの選択肢

通信制高校と聞くと、自宅での学習が中心で、学校に通う機会は少ないというイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、近年の通信制高校は、従来のイメージから大きく変化しています。
現在は、自宅でのオンライン学習を中心とするスタイルだけでなく、週1日から週5日まで、自分の希望や生活スタイルに合わせて登校頻度を選べる学校もあります。
例えば、学校法人角川ドワンゴ学園が運営する「N高等学校」「S高等学校」では、ネットを活用した学習に加え、全国各地のキャンパスに通学するコースも設けられています。週5日通学するコースでは、キャンパスで仲間と一緒に学習したり、教員やメンターからサポートを受けたりしながら、日々の学校生活を送ることができます。実に在学生の3割(約1万人)がこの週5科通学コースを選択しているそうです。
このように、通信制高校であっても、全日制高校に近い通学スタイルを選ぶことができるのです。
また、通信制高校の進学サポートも充実してきています。
学校によっては、大学受験に向けた講座や個別の進路指導などを用意しており、難関大学を含む大学進学を目指せる環境も整えられています。実際に、東京大学や京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学などへの合格実績がある高校もあります。
こうした変化からも、現在の通信制高校は、単に「学校に通わずに高校卒業を目指す場所」ではなくなっていることがわかります。
自分のペースで学習を進めたい人はもちろん、毎日学校に通って仲間と過ごしたい人や、大学進学を目指して学力を伸ばしたい人にとっても、通信制高校は選択肢の一つになっています。
通信制高校を検討する際は、登校日数だけでなく、授業の進め方や学校生活の内容、進路サポートなどにも目を向け、自分に合った学習環境を探してみましょう。

 


5. 通信制高校のデメリット・注意点

通信制高校には多くのメリットがありますが、入学前に知っておきたい注意点もあります。
自分に合った学校を選ぶためにも、デメリットについて理解しておきましょう。


5-1. 自分で学習計画を立てる必要がある

通信制高校では、自宅などで学習を進める時間が多くなるため、自分で学習計画を立てることが重要です。
全日制高校のように毎日決まった時間に授業を受けるわけではないため、学習を後回しにしてしまうと、レポートの提出期限に間に合わなくなる可能性があります。
卒業に必要な単位を修得するためには、日々の学習を計画的に進める必要があります。
自分だけで学習を進めることに不安がある場合は、教員による学習指導や個別サポートの有無を確認しておくとよいでしょう。


5-2. 友人や教員と交流する機会が少なくなる場合がある

通信制高校は、登校日数が少ない学校もあるため、全日制高校と比べて友人や教員と顔を合わせる機会が少なくなる場合があります。
ただし、スクーリングや学校行事、部活動などを通じて交流できる学校もあります。
また、週に数日登校できる学校や、クラス単位で活動する機会を設けている学校もあります。
友人との交流や学校行事を大切にしたい人は、登校頻度や学校生活の内容などを事前に確認しておきましょう。


5-3. 学校によって学習環境やサポート体制が異なる

通信制高校は、公立・私立の違いだけでなく、学習方法や登校スタイル、サポート体制なども学校によって異なります。
例えば、オンライン学習を中心とする学校もあれば、週に数日登校して授業や個別指導を受けられる学校もあります。
また、スポーツや芸能活動との両立を支援する学校や、大学進学に向けた受験対策、資格取得などに力を入れている学校もあります。
入学後に「思っていた学習環境と違った」とならないよう、学校説明会や個別相談などを利用して、具体的な学習内容やサポート体制を確認することが大切です。

 


6. 通信制高校はどんな人に向いている?

通信制高校は、全日制高校とは異なる学習スタイルを持っているため、人によって向き・不向きがあります。
例えば、次のような人は通信制高校を選択肢の一つとして検討できます。

 

  • スポーツや芸能活動など、学業以外にも力を入れたい人
  • 自分の生活スタイルに合わせて学習したい人
  • 自分のペースで学習を進めたい人
  • 不登校を経験し、登校頻度や学習環境を見直したい人
  • 学校のサポートを受けながら高校卒業を目指したい人
  • 通学と自宅学習を組み合わせながら高校生活を送りたい人

 

通信制高校は、学業以外の目標に向けて時間を使いたい人にも、学校生活や学習方法を自分に合った形に見直したい人にも、進学先の選択肢となります。
ただし、通信制高校は「勉強しなくても卒業できる高校」ではありません。
レポートの提出やスクーリングへの参加、単位認定試験など、卒業に向けて必要な学習活動があります。
自分で学習を進めることに不安がある場合は、登校頻度が高い学校や、教員による学習サポートが充実している学校を検討するのも一つの方法です。
大切なのは、通信制高校という制度だけで判断するのではなく、自分の目標や生活スタイル、学習状況に合った学校を選ぶことです。

 


7. 通信制高校に関するよくある疑問

最後に、通信制高校についてよくある疑問を紹介します。


7-1. 通信制高校は何年で卒業できる?

通信制高校は、原則として3年以上在籍し、卒業に必要な条件を満たすことで卒業できます。
卒業には、原則74単位以上の修得などが必要です。
ただし、単位を予定どおりに修得できなかった場合などは、卒業までに3年以上かかることもあります。
また、以前在籍していた高校で修得した単位や在籍期間を引き継げる場合もあるため、転入・編入を考えている人は学校に確認してみましょう。


7-2. 通信制高校を卒業すると高校卒業資格を取得できる?

通信制高校を卒業すると、全日制高校や定時制高校と同じように、高校卒業資格を取得できます。
卒業後は、大学や短期大学、専門学校への進学や就職など、さまざまな進路を選択できます。
通信制高校だからといって、卒業資格の扱いが全日制高校と異なるわけではありません。


7-3. 通信制高校には入学試験がある?

通信制高校にも入学者選抜があります。
選抜方法は学校によって異なり、書類選考や面接、作文、学力検査などが実施される場合があります。
そのため、すべての通信制高校が無試験で入学できるわけではありません。
受験を検討している場合は、志望校の募集要項を確認し、入学試験の内容や出願条件を把握しておきましょう。


7-4. 通信制高校とサポート校は同じもの?

通信制高校とサポート校は、同じものではありません。
通信制高校は、学校教育法に基づく高等学校であり、卒業に必要な単位を修得することで高校卒業資格を取得できます。
一方、サポート校は、通信制高校に在籍する生徒の学習や学校生活を支援する民間の教育施設です。
レポートの作成支援や学習指導、進路相談などをおこなう場合がありますが、サポート校に通うだけで高校卒業資格を取得できるわけではありません。
サポート校を利用する場合は、どの通信制高校に在籍することになるのか、費用や支援内容はどうなっているのかを確認することが大切です。

 


8. まとめ

今回は、通信制高校の仕組みや全日制・定時制高校との違い、メリット・デメリットについて解説しました。
通信制高校は、自宅などでの学習を中心に、レポートの提出・スクーリング・単位認定試験などを通じて単位を修得し、高校卒業を目指す教育課程です。
学業以外の活動に力を入れたい人や、自分の生活スタイルに合わせて学習したい人にとって、通信制高校は魅力的な選択肢の一つです。また、不登校を経験した人など、さまざまな事情から全日制高校への通学が難しい人にとっても、自分に合った環境で学び続けるための選択肢となります。
さらに、N高・S高のように、週5日通学できるコースや大学進学に向けた学習環境を用意している学校もあります。通信制高校だからといって、自宅学習だけに限られるわけではなく、学校ごとに多様な学び方が用意されています。
一方で、学校によって登校頻度や学習内容、サポート体制は異なります。自分に合った高校を選ぶためには、制度の特徴だけでなく、実際の学校生活や卒業後の進路についても確認することが大切です。
高校には全日制・定時制・通信制という異なる課程があり、それぞれに特徴があります。
周囲の意見やイメージだけで進学先を決めるのではなく、自分の目標や将来の進路を見据えながら、納得できる高校選びを進めていきましょう。